研究奨励賞

2023年研究奨励賞 受賞者2矢印 2023年研究奨励賞 受賞者1矢印 研究奨励賞 歴代受賞者(別ページ)矢印

目的・詳細

研究奨励賞 楯
楯

1. 目的

電子科学技術の分野で、将来の発展が期待される独創的な研究に取り組む若い研究者を表彰すると共に研究費を助成し、わが国の電子科学技術の振興並びに産業の発展に寄与することを目的としています。

2. 表彰内容

研究奨励賞 3名
表彰楯並びに研究助成金(1名当たり)200万円贈呈

3. 候補者選考

当財団が定める、選考委員会規則及び研究奨励賞選考規程に基づき、選考委員会で推薦書審査により候補者を選定し、選定候補者から提出された研究内容等を審査し、受賞候補者を内定します。
理事会の承認を経て決定し、11月下旬に結果通知を郵送いたします。
-- 選考委員会へ矢印

研究奨励賞 2023年受賞者

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●研究課題
「IoT社会の実現に向けた無線通信とレーダー信号処理の周波数共存に関する研究」

小島 写真

小島 駿博士
(東京大学 生産技術研究所 特任助教 (工学博士)1994生)

研究概要

Society 5.0の実現に向け、IoT技術は飛躍的な発展を遂げており、無線通信需要の増加は止まる所を知らない。 加えて、自動運転やドローン技術等の急速な進展に伴い、マイクロ波やミリ波帯の電波を用いた汎用的なレーダーの需要 が増している。こうした背景から、昨今では無線通信・レーダー信号処理において使用する周波数帯域の逼迫が喫緊の課 題となっており、無線資源の効率的な活用が必要不可欠である。

本研究では、高速・大容量通信とその周辺環境の迅速・高精度な推定の両立を目的とし、無線通信とレーダー信号処理 を高度に融合させスペクトル共存を図る方式を検討する。 具体的には、無線通信における様々な波形形式による通信環 境推定性能の解析と、それを踏まえた計算効率に優れるレーダー信号処理数理モデルの構築を行う。本研究は、現在広く 普及している無線通信技術をベースにしており、レーダー信号処理として通信環境推定を行う際に、特別な送受信設備を 新たに必要としない。 そのため、IoT端末に要求される低コスト・低消費電力なセンシング機能を実現する要素技術の一 助となることが期待される。

研究奨励賞 2023年受賞者

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●研究課題
「次世代電子デバイスに向けた大面積二次元半導体結晶の合成」

鈴木 写真

鈴木 弘朗博士
(岡山大学 学術研究院 環境生命自然科学学域 助教 (工学博士) 1990生)

研究概要

半導体の高集積化の技術的な限界を迎えており、新たなトランジスタ構造を構成するための電子材料開発が求めら れている。シリコンに代わる新たな代替材料として、原子レベル厚みの層構造をもつ、二次元半導体が注目されている。 特に、代表的な二次元半導体である遷移金属ダイカルコゲナイド(TMDC)は、その物性(キャリア移動度)や安定性から シリコンの代替材料の有力候補である。また、単層のTMDCは多層と異なり優れた光学特性(吸収・発光)を持つことが 知られている。そのため、二次元半導体を用いた、フレキシブル性をもつ新しい光電子デバイス(発光素子,光センサ)の 開発も期待されている。これらを実現するためには、高品質なTMDC結晶が必要不可欠である。しかし、サイズ・品質を 満たすTMDC結晶を成長する技術はまだ確立されていない。

鈴木氏らはこれまで、成長基板を積層したマイクロリアクタ内で高品質な大面積TMDCの合成に成功した。そこで本 研究では、半導体二次元材料のTMDCを閉じ込め空間を利用し合成する手法を研究する。マイクロリアクタの閉じ込め 空間における金属塩液体、原料拡散の動的振る舞いや、結晶成長過程の理解を通して、核生成や結晶成長を制御する 技術を開発し、これまで困難であった単層TMDC単結晶の超大面積化・高品質化の実現を目指す。

研究奨励賞 2023年受賞者

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●研究課題
「Society 5.0時代を切り開く革新的デジタルサイネージの開発」

常安 写真

常安 翔太博士
(大分工業高等専門学校 電気電子工学科 助教 (工学博士) 1990生)

研究概要

Society 5.0 を支える「フィジカル空間とサイバー空間の一体化」を実現するためには、社会全体に電子デバイス を張り巡らせる必要があり、各種電子デバイスには紙のような柔軟性と自在な形状に切り出せる加工性が求められて いる。これらの要求は、ヒトとマシン(電子デバイス)を視覚的につなぐインターフェースであるデジタルサイネージも例 外ではなく、喫緊の課題である。

常安氏は、単一の電気化学デバイス内にて分子間相互作用を利用することで発光・反射の両光学状態を選択的 に制御可能な高視認性デジタルサイネージを考案した。さらに、本設計・解析手法を潜在的にデバイス構造の自由 度に優れた分散型電界発光(EL)へと展開し、高輝度化を実現するとともに高輝度化に伴って高温化しやすい分散型 ELの低温駆動化に成功した。本研究では、10年、20年先の人々が渇望する機能・性能を達成するため、さらなる 高機能化・高性能化を目指す。また、本研究活動を通して次世代の研究者・技術者を育成し、社会に貢献してゆきた いと考えている。