研究奨励賞

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目的・詳細

研究奨励賞 楯
楯

1. 目的

電子科学技術の分野で、将来の発展が期待される独創的な研究に取り組む若い研究者を表彰すると共に研究費を助成し、わが国の電子科学技術の振興並びに産業の発展に寄与することを目的としています。

2. 表彰内容

研究奨励賞 3名
表彰楯並びに研究助成金(1名当たり)200万円贈呈

3. 候補者選考

当財団が定める、選考委員会規則及び研究奨励賞選考規程に基づき、選考委員会で推薦書審査により候補者を選定し、選定候補者から提出された研究内容等を審査し、受賞候補者を内定します。
理事会の承認を経て決定し、11月下旬に結果通知を郵送いたします。
-- 選考委員会へ矢印

研究奨励賞 2018年受賞者

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●研究課題
「多層構造を有する高効率塗布型有機 EL 素子の開発

相澤 写真

相澤 直矢
(理化学研究所 創発物性科学研究センター 創発超分子材料研究チーム
  客員研究員)

研究概要

近年、印刷技術を用いて省エネルギーで製造できる塗布型有機ELが注目を集め、研究開発が盛んに行われている。将来的に新聞を印刷するように、有機ELディスプレイや照明を量産できると期待されている。塗布型有機ELの実用化の課題である発光効率の向上には、異なる有機物の薄膜を積層し、電荷輸送や発光といった機能を各層に分離することが有効である。しかし、上層を塗布積層する際に、塗布溶媒による下層の再溶解を防ぐ必要がある。

相澤氏は、高効率な塗布型有機ELデバイスの開発に取り組んでいる。これまでに、塗布による多積層構造を可能とする低分子有機EL材料の溶解性制御技術や高分子有機EL材料の短時間・低温架橋技術を提案し、市販の蛍光灯や無機LEDに匹敵する高い電力効率 88 lm/Wを示す塗布型白色有機 EL デバイスの開発に成功した。また、塗布により形成した積層膜の界面構造がデバイス効率に与える影響を検証し、発光層と電子輸送層の界面において、発光材料の溶出を抑制することが高効率化に重要であることを明らかにした。さらなる塗布型有機 ELの研究開発により、製造および駆動の両面で真に省エネルギーな光源を実現することで、喫緊のエネルギー問題の解決に貢献するものと期待できる。

研究奨励賞 2018年受賞者

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●研究課題
「コンピュータホログラフィによる超高分解能4次元計測システム」

角江 写真

角江 崇
(千葉大学 大学院工学研究院 助教)

研究概要

コンピュータホログラフィは、光の波動的性質(干渉と回折)を利用して、光強度と位相の両方をディジタルに記録・再生可能な技術である。計測対象へと光を照射し、その透過光または反射光の情報を、ホログラムと呼ばれる2次元の干渉縞画像としてイメージセンサで記録する。記録したホログラムに対して計算機上で再生処理計算を行うことで、計測対象の情報を有した光の強度分布と位相分布とを数値的に再生できる。コンピュータホログラフィにおいては、イメージセンサや光源の制約はないため、特殊なイメージセンサや光源を利用することで様々な計測法を実現可能である。

角江氏は、イメージセンサに偏光カメラ、光源に超短光パルスレーザを導入することで、ナノメートルオーダの奥行き分解能とフェムト秒オーダの時間分解能とを同時に達成しうる超高精度4次元(空間3次元+時間1次元)計測システムの実現に成功している。将来的には、光計測の持つ非侵襲性、非接触性を活かした他技術では計測しえない未知の超高速現象や生命現象、生体細胞の働きの発見および解明への貢献を目指している。

研究奨励賞 2018年受賞者

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●研究課題
「ナノ薄膜干渉基板を用いたカビの蛍光増強イメージング法の開発」

安田 写真

安田 充
(関西学院大学 理工学部 研究特別任期制助教)

研究概要

近年、薬剤耐性を獲得したカビの世界的な感染流行 (パンデミック) が危惧されている。カビは生長しながら細胞組織へと侵入することで感染するため、生長の仕組みを明らかにすることが緊急の課題となっている。しかし、生長に重要な役割を果たすと推測される低濃度分子からの微弱な蛍光の観察には困難を伴う。この問題を打開するため、Ag基板上の透明なAl2O3誘電体膜からなるナノ薄膜干渉基板に着目した。ナノ薄膜干渉基板では一般的なスライドガラスなの基板と比較し、蛍光物質からの蛍光が100倍以上増強する。ここでの増強は主に光学干渉によって基板表面に発生した増強電場により、蛍光物質の吸収係数や量子収率が増大し、電子から放出される蛍光の発光効率が向上することで起きる。

本研究では、ナノ薄膜干渉基板がもつこの高い蛍光増強効果をカビに適用し、蛍光染色したカビの蛍光増強イメージングを実証することで、カビの「明るい」蛍光観察基盤を確立することを目的とする。本研究課題の達成により、これまで見えなかった細胞内低濃度分子からの微弱な蛍光が観察できるようになるため、微生物学をはじめとする生物学や医学分野の発展に貢献することが期待される。また、ナノ薄膜干渉基板を使い捨て型チップとして用いれば、カビ感染の医療診断にも適用できる。さらに、社会的要請度の高い人類の生存を脅かすカビによるパンデミックを未然に防ぐことにも貢献するため、本研究が果たす役割は大きい。