研究奨励賞

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目的・詳細

研究奨励賞 楯
楯

1. 目的

電子科学技術の分野で、将来の発展が期待される独創的な研究に取り組む若い研究者を表彰すると共に研究費を助成し、わが国の電子科学技術の振興並びに産業の発展に寄与することを目的としています。

2. 表彰内容

研究奨励賞 3名
表彰楯並びに研究助成金(1名当たり)200万円贈呈

3. 候補者選考

当財団が定める、選考委員会規則及び研究奨励賞選考規程に基づき、選考委員会で推薦書審査により候補者を選定し、選定候補者から提出された研究内容等を審査し、受賞候補者を内定します。
理事会の承認を経て決定し、11月下旬に結果通知を郵送いたします。
-- 選考委員会へ矢印

研究奨励賞 2021年受賞者

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●研究課題
「協調センシングのためのIoT と情報圧縮技術に関する研究」

青木 写真

青木 俊介博士
(国立情報学研究所 アーキテクチャ科学研究系 助教(工学博士)1989生)
(名古屋大学 未来社会創造機構 モビリティ社会研究所 特任助教として応募)

研究概要

自動運転車・ドローン・移動ロボット等を実社会で安全に利活用するためには、複数デバイスやIoTシステム間でセンサ情 報をリアルタイムに共有する協調センシング技術が必要不可欠である。一方で、情報共有に用いる無線の通信資源やIoTデ バイスの計算資源は非常に限られているため、全てのセンサ情報を共有することは難しい。限られた通信資源・計算資源を より効果的に用いるためには適切に情報を選択・圧縮する必要がある。

本研究では協調センシングのための情報圧縮技術開発のために、「物体追跡技術を用いた動的な情報粒度選択手法」の 開発と「深層強化学習を用いた情報選択技術」の開発の2点を行う。まず協調センシングでは複数のカメラや LiDAR 情報 などをリアルタイムに融合させる必要があるが、通信資源を有効に活用するために、本研究では時間的・空間的にセンサ情 報の粒度を変更するアルゴリズムを設計する。本手法によって、無線通信上で共有する情報量を動的に変更することが可 能となる。次に効果的な協調センシングを行うためには、受信機体がどの情報を必要としているかを送信機体が推定する 必要がある。このため本研究では深層強化学習を用いて相対的なノード位置・物体数等に応じた情報選択技術を開発す る。本研究の実現により、自動運転車や移動ロボットが自車両の死角となる位置の情報を取得することが可能となる。

研究奨励賞 2021年受賞者

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●研究課題
「水溶性合金を用いたナノポーラス構造の作製とフレキシブルイオニクスの創製」

山田 写真

山田 駿介博士
(東北大学大学院 工学研究科 ロボティクス専攻 助教(工学博士)1990生)

研究概要

有機材料や無機薄膜を利用したフレキシブルエレクトロニクスが、局面への貼り付け、ヘルスモニタリングの観点から 注目を集めている。これらの電源として、フレキシブルスーパーキャパシタは有望な蓄電素子と考えられており、大きな エネルギー密度を実現するため、電気容量Cの増大が研究されている。電気容量Cは、誘電率ε、電極面積S、電気二重 層の厚みdを用いて、C = ε(S/d)と定義され、表面積に比例する。そのため、ナノスケールの微小な凹凸(ナノポーラ ス構造)を用いた表面積の増大が研究されている。ナノポーラス構造の作製方法として、2種類以上の合金から、特定の 金属を選択的に除去して、ナノポーラス構造を作製するDealloyが報告されている。しかしながら、Dealloyは、強酸 (HCl)・強アルカリ(NaOH)を使用するため、耐薬品性が乏しいフレキシブル基板(PET・PEN)と相性が悪く、基板が 損傷するためナノポーラス構造を直接作製できていない。

そこで、本研究では、水溶性金属をふくむ合金を作製し、水溶性金属を水で除去することで、ナノポーラス構造を耐薬 品性に乏しい基板上に作製した。本申請は、水を用いたナノ構造の開発だけではなく、イオンをセンシング原理としたイ オニクスや、電子とそのハイブリッドによるイオントロニクスの電気特性を飛躍的に改善する技術の観点から独創的であ り、学術的に意義深い。本申請で実現するナノポーラス構造は、フレキシブル基板により自由曲面に貼り付ける用途に も応用可能であるため、ウェラブルデバイス分野にも産業的な波及効果は大きい。例えば、血糖値測定用貼り付けデバ イスや、曲面に貼り付けるフレキシブル太陽電池の蓄電素子への応用が考えられる。

研究奨励賞 2021年受賞者

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●研究課題
「遅延を考慮した制御システムのセキュリティ対策アルゴリズムの開発」

若生 写真

若生 将史博士
(神戸大学大学院 システム情報学研究科 システム科学専攻 准教授(情報学博士)1988生)

研究概要

制御システムに汎用的なネットワーク技術が採用され、そのオープン化が進んでいる。これは同時に、制御システムに おいてサイバー攻撃の対象や侵入経路が増えたことを意味する。そのため、制御システムのセキュリティ対策が喫緊の 課題になっている。一方、制御システムでは様々な理由で遅延が発生する。たとえば、計測や通信のデータ処理に伴い 遅延が生じる。また、セキュリティ対策のためにシステムを冗長化することで、計算処理による遅延も生じる。 しかし、従来のサイバー攻撃に対する制御アルゴリズムはこのような遅延を十分に考慮していなかった。

本研究では、計測や通信に由来する遅延とシステム内部で発生する遅延の両方を厳密に取り扱いながら、制御システム の解析を行う。そのために、関数解析学の一分野である強連続半群論を用いて、状態方程式により制御システムの数理 モデルを構築する。サイバー攻撃としてセンサ情報の改ざんやパケット損失を考慮し、制御システムの安全性を保証する 上で許容可能なサイバー攻撃の強度を定量的に明らかにする。そして、遅延を陽に考慮しながら、安全にシステムが 稼働するための制御アルゴリズムを開発することを目的とする。