高柳健次郎業績賞 2024年受賞者
「ワイヤレス通信の先進的信号処理および変調技術の研究」
杉浦 慎哉博士
(東京大学 生産技術研究所 教授 1979年生)
[学 歴] 2002年 3月京都大学 工学部物理工学科 卒業
2004年 3月京都大学大学院 工学研究科 航空宇宙工学専攻 修士課程修了
2010年 9月School of Electronics and Computer Science,
University of Southampton, Ph.D.
[職 歴] 2004年~2012年株式会社豊田中央研究所
2013年~2018年東京農工大学 准教授
2018年~2024年東京大学 准教授
2024年~現在東京大学 教授
● 主な受賞等
2008年 12月IEEE Antennas and Propagation Society Japan Chapter
Young Engineer Award
2011年 11月Ericsson Young Scientist Award
2011年 12月IEEE Communications Society Asia-Pacific
Outstanding Young Researcher Award
2012年 2月丹羽保次郎記念 論文賞
2013年 3月電気通信普及財団賞 テレコムシステム技術賞
2013年 4月船井研究奨励賞
2013年 6月安藤博記念学術奨励賞
2015年 4月船井学術賞 船井哲良特別賞
2016年 4月文部科学大臣表彰 若手科学者賞
2016年 11月RIEC Award
2018年 3月電気通信普及財団賞 テレコムシステム技術賞 奨励賞
2019年 6月電子情報通信学会 末松安晴賞
2022年 2月日本学術振興会賞
杉浦博士は、利用しやすい周波数資源が限られる中でさらなる高度化が重要な次世代ワイヤレス 通信を対象として、基盤技術である符号化/変復調技術などの先進的信号処理の開発に従事して きた。 代表的な研究事例として、空間変調、インデックス変調、Faster-than-Nyquist (FTN) 信号伝送、メタサーフェス反射デバイス、物理層セキュリティなどがある。 空間変調については、複数のアンテナ素子を有する送信局において一素子のみを起動する方式の 開発に取り組み、送信局の装置規模・消費電力を減少させることができる移動端末や簡易基地局 などにおいて現実的な大規模複数アンテナ伝送技術を開発した。特に、一系統の高周波回路で 広帯域信号を送受信するために実用上重要な信号処理手法を提案した。
また、FTN 信号伝送は、送信シンボル間隔をナイキスト基準未満に設定して非直交化を許容する ことで、周波数帯域を増やすことなく送信レート向上を目指した技術である。 杉浦博士は周波数 軸上の変動を考慮した現実的な周波数選択性ワイヤレス伝搬路において、理論的の性能上限を目的 関数として非直交信号伝送の送受信機構成を設計した。
以上の研究成果について、100 篇を超える学術論文がIEEE ジャーナルに掲載されており、 その半数以上を第一著者または責任著者として実質的に貢献している。日本学術振興会賞や文部 科学大臣表彰若手科学者賞など多くの賞を受賞するなど、同分野において評価されている。
さらに後進育成に熱心であり、指導した大学院生の多くは在学中の成果がIEEE ジャーナル誌に 主著論文として掲載されている。学協会に関する貢献としては、IEEE の主要ジャーナル誌(IEEE Transactions on Communications, IEEE Wireless Communications Letters)や Scientific Reports誌でエディタを務めてきており、模範的編集委員の表彰を受けている。
以上より、同博士は通信工学を発展させ、国際的に高評価を受けており、当分野をリードする研究 者として今後の活躍が期待できる。


