第43回 2012年 科学放送高柳記念賞 受賞番組

番組名 NHKスペシャル 「宇宙の渚」第1集・謎の閃光 スプライト
●放送局:日本放送協会    ●放送日:放送日:2012年4月22日(58分)

番組 写真

青空が漆黒の宇宙へと変わる、高度数十~数百キロ。流星が飛び交い オーロラが輝くその場所を、番組では「宇宙の渚」と名付け、そこで繰り広 げられる地球と宇宙の間の知られざるドラマを3回にわたって特集した。 第1集の主役は、雷雲から宇宙に向かってほとばしる巨大な閃光「スプラ イト」。長年パイロットたちの間でひそかに目撃談が噂されてきた、謎の現 象だ。1990年、偶然科学者によって観測され、研究が始まったものの、 実態は今なお多くの謎に包まれている。

番組では、最新の超高感度撮影技術を駆使し、飛行機から、さらには国 際宇宙ステーションからも、スプライトを世界初のハイビジョン映像で捉 えることに挑んだ。NHKと共に立ち上がったのが、世界のスプライト研究 者と、JAXA宇宙飛行士・古川聡さん。史上最大規模の観測によって捉えられた、スプライトの驚くべき姿から浮かび上がってきたのは、 地球と宇宙の間で大量の電気エネルギーがやりとりされているという、従来の常識を超える新発見だった・・・。

これは単なる珍しい自然現象の紹介番組ではない。未知なる世界への扉を開こうと挑む科学者たちの情熱に迫った、新たな科学 ドキュメンタリーである。

番組名 KBSふるさとスペシャル「未来を回せ~富山発・小水力発電の可能性~」
●放送局:北日本放送株式会社    ●放送日:2012年6月24日(53分)

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東日本大震災による福島第一原発の壊滅的な被害が日本のエネルギー 政策に原点からの再構築を迫る中、注目されているのが再生可能エネル ギーです。

私たちのふるさと、富山県は、北アルプス立山連峰を源とした豊富で安 定した水量を背景に、全国2位の水の包蔵量を誇ります。番組では、エネ ルギーの地産地消について実践を続ける富山高等専門学校の学生たち の1年を追いました。

彼らは昨年、中部地方の工業高専など4校5チームが競い合って全国で 初めて開かれた小水力発電アイデアコンテスト、通称「ジェネコン」で見 事、初優勝を飾りました。コンテストは自作の水車で発電した電気を地域の役に立てるアイデアを審査するものです。

試行錯誤を繰り返しながら懸命に新発想の水車作りに取り組む彼らから見えてきたのは、身近で生んだエネルギーをその場で生かす ことの重要性でした。

番組名 「風を集めて“レンズ風車”未来への挑戦」
●放送局:RKB毎日放送株式会社    ●放送日:2011年12月31日(46分)

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2011年3月11日に発生した東日本大震災は、日本の科学技術のあり 方を問うものとなったのではないでしょうか。日本が揺れたあの日、奇しく も取材していたのが「レンズ風車」でした。九州大学の大屋裕二教授が開 発したもので、従来型よりも発電効率が3倍になるという「夢」の風車 です。

レンズ風車の構想を聞いたのは9年前のことでした。その性能の高さと 大屋教授の人柄に惹かれて、取材を始めました。これまでの取材をまとめ た番組が「風を集めて“レンズ風車”未来への挑戦」です。中国で砂漠緑化 のエネルギー源にしようと設置されたレンズ風車。しかし、砂漠の嵐の前 に吹き飛ばされ、無残な姿をさらしていました。大屋教授らはこれらの問 題を一つずつ解決していきながら、風車の改良を続けています。そして、海の上にレンズ風車を浮かべ、洋上に発電基地を作るというとこ ろにまで「夢」は広がっています。

風車の開発に地道に打ち込む研究者、それを技術で支える小さな町工場の職人たち…。「エネルギー問題を解決する」という目標以上 に日本再生のヒントが隠されていると感じ、番組を制作しました。

■ 放送期間/2011年9月1日~2012年8月31日 ■ 応募放送局/10局 ■ 応募番組数/14番組