研究奨励賞

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目的・詳細

研究奨励賞 楯
楯

1. 目的

電子科学技術の分野で、将来の発展が期待される独創的な研究に取り組む若い研究者を表彰すると共に研究費を助成し、わが国の電子科学技術の振興並びに産業の発展に寄与することを目的としています。

2. 表彰内容

研究奨励賞 3名
表彰楯並びに研究助成金(1名当たり)200万円贈呈

3. 候補者推薦及び選考

当財団が定める、選考委員会規則及び研究奨励賞選考規程に基づき、選考委員会で候補者推薦大学を指定し、該当大学から提出された候補者推薦書を審査し、受賞候補者を内定します。
理事会の承認を経て決定し、11月下旬に結果通知書を郵送いたします。
-- 選考委員会へ矢印

研究奨励賞 2016年受賞者

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●研究課題
「パワーデバイス応用に向けたダイヤモンド半導体の
オーミック接触形成に関する研究」

片宗 写真

片宗 優貴
(九州工業大学 若手研究者フロンティア研究アカデミー 特任助教 1989年生)

研究概要

パワーエレクトロニクスは、インフラから自動車関係まで、省エネ化のための電力変換の要素技術として役割を果たしている。その根幹を担うパワー半導体は、さらなる大電力・低損失化に加え、高温での安定した動作が求められている。ダイヤモンドは、高い絶縁破壊電圧、熱伝導度、キャリア移動度など他の材料と比べて優れた物性を有しており、SiCやGaNに次ぐ、次々世代のパワー半導体材料として期待されている。しかしながら、実用化に向けて多くの課題が残されており、結晶成長、不純物ドーピング、デバイスプロセスなど、個々の要素技術の確立が極めて重要になる。ワイドギャップ半導体に特有のオーミック電極の問題は、電極界面での接触抵抗が高く半導体内部へのキャリアの注入・抽出の効率が低いことにあり、ダイヤモンドにおいてもデバイス性能を大きく損なう要因となっている。

本研究では、ダイヤモンドのオーミック電極の形成を目指し、これを解決するための一手段として、低抵抗ナノダイヤモンド系薄膜を中間層として電極/ダイヤモンド間に挿入することで、電流輸送経路の確保および接触抵抗の低減を図る。また、接合構造や電子状態など学術的なアプローチにより、低抵抗な界面構造設計に向けた指針を得る。電極形成技術の確立は、ダイヤモンドのパワーデバイス応用に向けた要素技術の一翼を担うものであり、今後のダイヤモンド半導体の実用化に大きく寄与することが期待できる。

研究奨励賞 2016年受賞者

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●研究課題
「コランダム構造酸化物混晶による高機能半導体膜の開発」

金子 写真

金子 健太郎
(京都大学 大学院工学研究科 附属光・電子理工学教育研究センター助教 1984年生)

研究概要

現在最も注目を集めているコランダム構造酸化物混晶系の作製に世界で初めて成功し、その概念の提案を行った。例えば、コランダム構造をもつ酸化ガリウム(α-Ga2O3)を用いた自立基板型Shottky バリアダイオードは、SiCのオン抵抗の理論値の約7分の1の値を示し、次世代パワーデバイスの最有力候補とみなされている。

この報告を行った株式会社FLOSFIAは、金子氏が共同設立した規模20人ほどの会社であり、本研究が具体的な実用性をもっている事を示している。また、α-(Al,Ga)2O3、α-(In,Ga)2O3混晶は、3.7-9.0 eVの範囲でバンドギャップ変調が可能であり、これまでの半導体混晶では不可能であったバンドギャップ (Eg) 領域での変調を実現した。これは、従来のInN-GaN-AlN混晶系( Eg=0.7 ‒ 6.0 eV)では到達できなかった、超高耐圧デバイス、超短波固体発光素子作製が可能である事を示している。

さらに基礎研究の面でも、室温以上のキュリー点をもち磁性イオンが全率固溶する画期的な混晶磁性半導体であるα-(Ga,Fe)2O3の作製に成功した。それまでの希薄磁性半導体で問題となっていた結晶性の低下も起こりにくく、スピンデバイス用材料として高い可能性を秘めている。このように、これまで実現が困難であった新しい物性を示す半導体混晶群の提案と作製、及びその機能実現に世界で初めて成功した。

研究奨励賞 2016年受賞者

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●研究課題
「高速コンピュータ冷却に用いる電子スピンを
利用した磁気冷凍材料の開発」

松本 写真

松本 圭介
(愛媛大学 大学院理工学研究科物質生命工学専攻 助教 1986年生)

研究概要

現代社会において、冷凍技術は必要不可欠である。エアコン、冷蔵庫など身近なものに始まり、超電導リニアや工業製品の作製など様々なところで利用されている。その冷却手法の一つに磁気冷凍という手法がある。磁気冷凍とは、磁気熱量効果(磁場を印加・消磁して電子スピンの状態を制御する際に磁性体の温度が変化すること)を利用した冷却手法である。磁気冷凍は、ガス冷凍よりも高効率、静音性であることに加え、フロンガスを利用しないため環境に優しい点で注目を集めている。実用化にあたっては、使用する温度範囲で磁気熱量効果が大きい必要がある。

松本圭介氏は、液体窒素温度(77 K)以下における磁気冷凍材料の開発を行ってきた。近年、磁気冷凍を水素の液化(20 K)に利用するために、20 K付近で磁気熱量効果が大きい材料の探索が盛んに行われている。松本氏は、磁気冷凍で水素の液化を効率よく行う上では、77K付近で大きな磁気熱量効果を示す材料の探索が不可欠であると考え、研究を行ってきた。さらに、元素置換によって、77 K から20 Kまでの幅広い温度範囲で、大きな磁気熱量効果を示す温度域の制御も行っている。これまでの研究成果から、元素置換によって磁気熱量効果の温度領域を制御することで、日常の温度範囲においても効果を発揮する磁気冷凍材料の開発が見込まれており、高速コンピュータ等の冷却にも利用できるようになると期待される。