研究奨励賞 2016年受賞者

●研究課題
「高速コンピュータ冷却に用いる電子スピンを
利用した磁気冷凍材料の開発」

松本 写真

松本 圭介
(愛媛大学 大学院理工学研究科 物質生命工学専攻 助教 1986年生)

研究概要

現代社会において、冷凍技術は必要不可欠である。エアコン、冷蔵庫など身近なものに始まり、超電導リニアや工業製品の作製など様々なところで利用されている。その冷却手法の一つに磁気冷凍という手法がある。磁気冷凍とは、磁気熱量効果(磁場を印加・消磁して電子スピンの状態を制御する際に磁性体の温度が変化すること)を利用した冷却手法である。磁気冷凍は、ガス冷凍よりも高効率、静音性であることに加え、フロンガスを利用しないため環境に優しい点で注目を集めている。実用化にあたっては、使用する温度範囲で磁気熱量効果が大きい必要がある。

松本圭介氏は、液体窒素温度(77 K)以下における磁気冷凍材料の開発を行ってきた。近年、磁気冷凍を水素の液化(20 K)に利用するために、20 K付近で磁気熱量効果が大きい材料の探索が盛んに行われている。松本氏は、磁気冷凍で水素の液化を効率よく行う上では、77K付近で大きな磁気熱量効果を示す材料の探索が不可欠であると考え、研究を行ってきた。さらに、元素置換によって、77 K から20 Kまでの幅広い温度範囲で、大きな磁気熱量効果を示す温度域の制御も行っている。これまでの研究成果から、元素置換によって磁気熱量効果の温度領域を制御することで、日常の温度範囲においても効果を発揮する磁気冷凍材料の開発が見込まれており、高速コンピュータ等の冷却にも利用できるようになると期待される。