研究奨励賞 2016年受賞者

●研究課題
「パワーデバイス応用に向けたダイヤモンド半導体のオーミック接触形成に関する研究」

片宗 写真

片宗 優貴
(九州工業大学 若手研究者フロンティア研究アカデミー 特任助教
  1989年生)

研究概要

パワーエレクトロニクスは、インフラから自動車関係まで、省エネ化のための電力変換の要素技術として役割を果たしている。その根幹を担うパワー半導体は、さらなる大電力・低損失化に加え、高温での安定した動作が求められている。ダイヤモンドは、高い絶縁破壊電圧、熱伝導度、キャリア移動度など他の材料と比べて優れた物性を有しており、SiCやGaNに次ぐ、次々世代のパワー半導体材料として期待されている。しかしながら、実用化に向けて多くの課題が残されており、結晶成長、不純物ドーピング、デバイスプロセスなど、個々の要素技術の確立が極めて重要になる。ワイドギャップ半導体に特有のオーミック電極の問題は、電極界面での接触抵抗が高く半導体内部へのキャリアの注入・抽出の効率が低いことにあり、ダイヤモンドにおいてもデバイス性能を大きく損なう要因となっている。

本研究では、ダイヤモンドのオーミック電極の形成を目指し、これを解決するための一手段として、低抵抗ナノダイヤモンド系薄膜を中間層として電極/ダイヤモンド間に挿入することで、電流輸送経路の確保および接触抵抗の低減を図る。また、接合構造や電子状態など学術的なアプローチにより、低抵抗な界面構造設計に向けた指針を得る。電極形成技術の確立は、ダイヤモンドのパワーデバイス応用に向けた要素技術の一翼を担うものであり、今後のダイヤモンド半導体の実用化に大きく寄与することが期待できる。