研究奨励賞 2014年受賞者

●研究課題
「垂直磁化MRAM用高スピン偏極率フルホイスラー合金薄膜の開発」

高村 写真

高村 陽太
(東京工業大学大学院 理工学研究科 電子物理工学専攻 助教 1984年生)

研究概要

高村陽太氏は、次世代不揮発メモリMRAM(MagnetoresistiveRandomAccessMemory)の基本メモリ素子である、垂 直磁化型トンネル磁気抵抗(p-MTJ)素子の実現に向け、完全にスピン分極したハーフメタル強磁性体(HMF)に垂直磁気異方性を付与するこ とを目的として研究を行っている。  Co基フルホイスラー合金Co2YZは、理論的・実験的に確かめられているHMF材料だが、同氏は、Co2MnSiとCo2FeSiに対して、それぞれ 異なる方法で垂直磁気異方性を付与することに成功した。まず、Co2MnSiに対しては、Pdと数分子層ずつ周期的に積層させ、Pd界面での界 面磁気異方性を利用した[Co2MnSi/Pd]人工格子膜を作製することに成功した。

層界面の結晶方位が磁気異方性に強く影響を及ぼすことを予想して、結晶方位の異なるMgO基板を用いて人工格子膜を作製したところ、 MgO(111)基板を用いた場合に高い垂直磁気異方性が得られることを明らかにし、加えて、垂直磁気異方性の定量的な評価にも成功した。 また、フルホイスラー合金Co2FeSiに対しては、Co2FeSiとMgOの二層構造を作製し、さらに、Co2FeSiを1nm以下に極薄層化させた。 この試料では、Co2FeSi/MgOの界面磁気異方性が支配的となり、垂直磁気異方性を発現させることに成功し、詳細な比較実験によって垂 直磁気異方性が確かにCo2FeSi/MgO界面に起因することを明らかにした。この構造は、p-MTJに直接適用できる構造で、次世代MRAMデ バイス等への応用が期待される。 以上のように、同氏は垂直磁化型高スピン分極率材料をテーマにして、精力的に研究を行っている。