研究奨励賞 2014年受賞者

●研究課題
「静電噴霧法による固体高分子形燃料電池触媒層の微細構造制御」

片山 写真

片山 昇
(東京理科大学 理工学部 電気電子情報工学科 助教 1983年生)

研究概要

固体高分子形燃料電池(PEFC)は水素と酸素から電気エネルギーを作り出す高効率な次世代のエネルギー変換装置として 燃料電池自動車等への応用が期待されている。 PEFCの心臓部は膜電極接合体(MEA)とよばれ、電解質膜の両面に触媒が担持された触媒担持カーボンが塗布されたものである。この触媒 担持カーボンの層を触媒層とよび、この微細構造が水素と酸素の電気化学反応の速度、すなわちPEFCの発電出力に大きく影響をおよぼす。  PEFCが本格普及するための政府の2030年目標として、量産技術を確立すること、製造原価を現在の数十万円/kWを2.5千円/kWに低減 することなどが掲げられている。現在、主に用いられている触媒層の形成方法(触媒担持カーボンの塗布方法)としては、エアスプレー法やスク リーン印刷法は、簡便ではあるが微細構造の制御は難しく触媒の利用効率が悪い。

片山昇氏は新たな塗布方法として静電噴霧法に着目した。静電噴霧法は液体に数kVの高電圧を印加することでサブマイクロオーダーの極 めて微小な液滴径の噴霧を実現できるため、緻密な触媒層構造を他の手法と比較して容易に形成できる。さらに、静電気力により液滴を狙っ た場所に引き寄せることも可能であり触媒の無駄を低減できる。

本研究では静電噴霧法の特徴を活用し、(1)大面積に一様な塗布分布を実現する手法の確立(2)厚さ方向の触媒担持カーボン・アイオノマー 比分布制御の2テーマに取り組みPEFCの普及に寄与する。