第46回 2015年 科学放送高柳健次郎賞 受賞番組

番組名 SBS防災特別番組 「富士山鳴動す?火の山の危機と予知―」
●放送局:静岡放送株式会社    ●放送日:2014年12月13日(54分)

番組 写真

2014 年9月、58人の命を奪い、戦後最悪の火山災害となった御嶽山の突然の噴火は、日本人に火山の恐ろしさを知らしめると同時に、「噴火予知の現実」と「突然の噴火にどう備えるべきか」という課題を突き付けきました。同時に私たち静岡放送のスタッフの頭に巡ったは、「富士山で噴火が起きたらどうなるのだろうか?」という思いでした。

取材を始め分かったのは美しく、雄大な富士の姿は火山活動の賜物だということ。遠くからの眺めとは裏腹に、近づけばその秘めた自然の力が岩石や地形から見て取れます。

富士山はここ1,200年の間に10回噴火しているといわれます。しかし、最近300年噴火していないという現実が登山者や住民に「火山」という認識を鈍らせます。

番組では子どもでも理解できる実験を通じ、活火山・富士山の成り立ちを解説。
一方で、御嶽山の異変に気付きながらも、予知に至らなかったこの国の現実に迫りました。東日本大震災以降、火山の活動期に入ったともいわれる日本列島で富士山が突然、火の山に姿を変える日は、そう遠くないのかもしれません。静岡発のローカルな目線から「日本人と火山との付き合い方」について真剣に考えた報道番組です。

静岡放送株式会社より許諾を得て、YouTubeで番組紹介版を公開再生

番組名
「 トキ 新世界を生きる 」
●放送局:株式会社新潟放送    ●放送日:2015年3月21日(47分)

番組 写真

学名、ニッポニアニッポン「トキ」は、日本において野生生物の絶滅から再生への物語を、はっきり示すことのできる稀有な存在である。最後の生息地、佐渡で一斉捕獲されてから27年、人工繁殖により、2008年はじめて放鳥された。生態に関する研究は進んでおらず、予 測できいトキの動きに人々は振り回された。

今回の番組は、放鳥以降のトキの生態について継続して取材を行ったもの。最初の放鳥個体の驚くべき広範囲の移動や、年間を通した田んぼでの生態…冬からの羽色の変化、春の繁殖期、夏の子育て、秋の食べ物を巡る行動、厳しい冬を乗り切る姿。さらに中国陝西省洋県トキ…1,200羽に達した野生下の姿を見つめ、これからの日本のトキの方向性を探る。

数少ない貴重なトキの保護のため場所、時期、撮影方法すべてに制約があり、また中国取材にはなかなか許可がおりず、ようやく2015年の3月に放送することが出来た。遠かった存在の「トキ」は田んぼというきわめて人間に近い場所に密接に結びついた生き物であったことに改めて気づかされる。人の生きる環境を考えるためにも「トキ」は欠かせない存在であることを感じ取っていただければ幸いである。

株式会社新潟放送より許諾を得て、YouTubeで番組紹介版を公開再生

番組名 NHKスペシャル
「腸内フローラ~解明!驚異の細菌パワー~」
●放送局:日本放送協会    ●放送日:015年2月22日(49分)

番組 写真

私達の健康にとって、本当に大切なことは何か?この番組は、世界最先端の研究を丹念に取材し、「腸内細菌」の秘められたパワーに迫ったものです。肌のシワ・肥満などの身近な話から、がん・糖尿病・うつ病まで。腸内細菌のパワーを活かす研究は、様々な分野に広がっていま。きっかけは遺伝子解析技術の進歩。ヒトの腸内にはシャーレの上では培養できない「未知の菌」が大量に住んでいて、我々の健康を左右するさまざまな物質を作っていることが分かってきたのです。現場ドキュメントと高品質のCGを組み合わせたV T Rや視聴者目線に引き寄せた親しみやすいスタジオ演出を駆使して、単に健康情報に止まることなく、私達の体に潜む“神秘的で尊いメカニズム”をお伝えすることに力を注ぎました。番組は大きな反響を呼んでいます。放送後、民放や雑誌が特集を組み、関連書籍が多数出版されました。企業や研究現場でも、腸内細菌研究のプロジェクトが組まれるなど、社会に“腸内フローラブーム”が巻き起こっています。番組をきっかけに、従来の医学や医療に無かった、新たな健康の形が広がりを見せ始めています。

■ 放送期間/2014年9月1日~2015年8月31日 ■ 応募放送局/13局 ■ 応募番組数/16番組