第42回 2011年 科学放送高柳記念賞 受賞番組

番組名「クニマスは生きていた!」
●放送局:株式会社毎日放送    ●放送日:2011年1月15日(47分)

番組 写真

2010年12月。秋田県田沢湖の固有種であり、生物学的にも希少な生態を持つ魚「クニマス」が70年の時を超え、山梨県西湖で奇跡的に生息していることが確認された。生物多様性の危機が叫ばれている今日、それは、明るく嬉しいニュースでした。発見したのは、京都大学の中坊徹次教授のプロジェクトチームだが、そこではあの「さかなクン」も一役買っていた。70年前に絶滅したと思われていたクニマスの大発見。天皇陛下までもがこの年の出来事のひとつとしてお言葉にされ、「奇跡の魚(うお)」と称えられました。

偶然に奇跡が重なって生み出されたこの大発見から、クニマスの捕獲研究、解析、発表までを、カメラは完全密着し、その一部始終を捉えた。その軌跡を克明に取材して、地道な努力と調査の結果に基づく発見の喜び、わくわくする感動が盛り込まれ、大人から子供たちまで解りやすく親しみやすい優れたドキュメントにまとめ上げました。生物の「種」に注目し、命の大切さ、そして自然の神秘について感じ、それぞれの家族で考えてほしい命題を、自然科学の歴史に残る大発見から紐解いて興味深く確かに伝える素晴らしい番組であると高く評価され、科学放送高柳記念賞に選ばれました。

番組名 コズミック フロント~発見!驚異の大宇宙~「迫りくる太陽の異変」
●放送局:日本放送協会    ●放送日: 2011年6月7日(57分)

番組 写真

いま太陽に、異変が起きている。地球上の生き物を支える母なる太陽の活動が低下したままなのだ。太陽にいったい何が起きているのか?このまま太陽の活動が停滞し続けると、地球環境にどんな影響があるのだろうか?くしくも今、太陽観測は黄金時代を迎え、日本の打ち上げた太陽観測衛星「ひので」をはじめ、数々の観測衛星や地上の最新鋭望遠鏡が、かつてない高精細な映像で太陽をとらえ続けている。これにより、爆発現象フレアや巨大火炎プロミネンスをはじめとする太陽活動の根源は、かつてないほどはっきりと捉えられるようになった。

番組名 チャネル4
「三兄弟が挑んだ命の鼓動~国産初・植込み型補助人工心臓開発物語~」
●放送局:株式会社テレビ信州    ●放送日:2011年5月28日(55分)

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2010年12月、国は「補助人工心臓」の製造と販売を国内2社に承認した。体内に埋め込む型は欧米企業の独占する分野で、初の国産である。1社は大手だったが、もう1社はサンメディカル技術研究所。 諏訪氏の三兄弟が立ち上げた小さなベンチャー企業だった。同社が開発に着手したのは約20年前。患者が普通の生活を送れる小型のものを作りたいという心臓外科医の二男のアイデアを形にすべく、長男を社長として同社を立ち上げる。体内に入れる小型モニターは加工が難しいチタン製。三男が経営する精密工場が加工を担った。初見参の医療分野で、命に直結する高度な医療機器の開発。当初は「地方の企業にできるはずがない」と言われた挑戦だった。壁にぶつかるたびに生まれる新たなアイデア。それを高度な加工技術でクリアして改良を重ねる。そこには、かつて東洋のスイスと言われた諏訪地方の精密技術と開発精神が根底にあった。

夢の実現に向かって、それを形にした地方のベンチャー企業の20年に亘る三兄弟の開発物語である。大きな目標に挑む勇気、創造性、兄弟の連携、人々の協力、あくなき執念、そこにはまさに、これからの時代に求められる研究開発者の姿が描かれ、見る人に夢と勇気と感動を与えてくれる素晴らしい番組であると高く評価されました。

■ 放送期間/2010年10月1日~2011年8月31日 ■ 応募放送局/10局